もひれいんさんによるイラストACからのイラスト
美月と沙織 一つ屋根の下(仮)
ping... pong...
『はーい、どちら様?』
「室山県室山市から来ました、高槻です」
「同じく、服部です」
『あ、分かりました、桃花ちゃんのお友達ね、ちょっと待ってて』
神奈川県海老名市のとあるところにある、柏原桃花の親戚のお家「吉田さん家」にお邪魔する二人。
「お邪魔しまーす」
「あら、高槻さんと服部さんね! 話は聞いているわ! どうぞ、いらっしゃーい」
「失礼しまーす」
「遠いところをようこそ。さあ、遠慮なさらずに」
「ありがとうございます」
見た目はまだまだ新しい一軒家。まだまだ若そうな、その家の奥さんと思しき女性が、二人を出迎えた。 二人は促されるままに、用意されたスリッパを履き、応接間を目指して廊下を歩いていた。
「まあまあ、あなたがたセーラー服? 憧れるわー、おばさんは、中学高校ではずっとブレザーだったから」
「そうです、一応、セーラーではありますが……」
「友達の同級生が痴漢に遭って、たまに酷い目には遭いますけどもねー」
「あらまあ! おばさん、性犯罪は許しませんよ!」
「そうですねえ、その通りです」
「まあ、あいつはスカートを無駄に短く詰めすぎたとか、いろいろありまして……」
「あらあら。誰だかわかんないけど、随分アグレッシブな子ね……どうぞ、座って、座って。飲み物お持ちするわ」
「いやいやいや」
「飲み物だなんて、何卒お気遣いなく……」
おばさんは、台所に行くと、なにやら、ペットボトルのミネラルウォーターを二人分持ってきた。
「はい、つまらないものですが、召し上がれ」
「あ、助かります、今日はオーディションでメッチャ汗かきましたし」
「いただきます」
「みやけ坂46受けて来たのね、あなたがた。すごいわね! よく頑張りました!」
「ありがとうございます」
「本当に突然押しかけて、どうも済みません」
「大丈夫よ、夫は成田から海外出張だし。ちなみに、娘はいま大学生で、都内で下宿中なんで、ちょーっとおばさん寂しかったから、丁度いいわ」
「うわー! わたし、東京に出て来ただけでも大冒険だったんですけども、ご亭主さんは海外ですか!」
「すごいですよね、吉田さん家!」
「まあね、でも、主婦になってみなさい。亭主元気で留守がいい、そういうものよ」
「はっとり、どうやらそういうことらしい」
「わたしも、東京は初だったから、海外だなんて想像もできないよー」
「ふふふ、二人ともかわいい!」
吉田さん家の冷蔵庫で、キンキンに冷やされた、五〇〇ミリリットルのミネラルウォーターがあまりに美味しかったので、二人とも感激していた。
「さあ、落ち着いたところで、そうね……娘の部屋が良さそうだから、そこのセミダブルベッドをお使いなさい」
「え! それって、添い寝ってやつですか?」
「うわ、沙織と添い寝ですかー」
「いや?」
「いえいえいえ、いやだなんて、そんなー」
「泊めていただけるだけで、光栄です!」
「ふふふ、旦那の部屋ってタバコ臭いし、あなたがたに、そんなフレグランスがつくの、いやでしょう、だから」
「何から何まで、ありがとうございます」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「さあさあ、おばさんについといで! その重そうな荷物、部屋に置いてから、ゆっくり休んで」
……というなり、二人を手招きして、二階に沙織と美月を案内した。階段を上がりながら、先ほど、セミダブルベッドだと聞かされて、余りの恥ずかしさに、いろんな想像をしてしまい、思わず顔から火が出そうな二人だった。
この続きはウェブで!! 更新されるのをゆっくりとお待ちくださいませ。ではでは(・∀・)ノ
田所稲造 拝
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